思考プロセス

TOC思考プロセスは、組織が目的達成に向けて活動するうえでの本質的な問題を発見し、組織的に解決していくプロセスを提供します。つまり、組織の目的達成を阻害する悪しき方針や評価基準をあぶりだし、それを解決した“あるべき姿”を描き、それを実現するためのプランを策定する体系的な問題解決アプローチです。

TOC思考プロセス3つのステップ

TOC思考プロセスは、次の3つのステップで問題解決をはかります。

   @何を変えるか? → A何に変えるか? → Bどのように変えるか?

     



@何を変えるか?

このステップでは、変えなければならない本質的な問題を見つけます。本質的な問題とは、目的達成に向かううえで存在する数々の“好ましくない事実”を引き起こしている根本的な原因です。

問題解決をはかる際、すべての諸問題に対して個別に対策を打つのは効果的でしょうか。医者の処方を考えてみましょう。

医者は「頭痛」「関節痛」「鼻づまり」「せき」などの個別の症状に対して治療をしたり、薬を出したりはしません。それらの症状を引き起こしている病気を見つけ出し、その病気に対して治療を施します。

組織についても同様、数々の症状を引き起こしている病気が存在していると考えられます。TOC思考プロセスでは、その病気である「中核問題」に対して治療を施すことで、問題解決をはかるのです。


A何に変えるか?

このステップでは、「何を変えるか?」で見つけた本質的な問題に対する解決策を見つけます。解決策を実行することで、思いがけない副作用が生じる可能性があります。ですから、ここでは生じうる副作用も洗い出し、その対策も検討する必要があります。


Bどのように変えるか?

このステップでは、「何に変えるか?」で見つけた解決策を実行するための計画を策定します。
解決策を実行するためには、それを妨げるさまざまな障害が存在します。それらの障害を一つずつ乗り越えていくロードマップを描き、アクションを洗い出していきます。


組織変革に対する抵抗を打破する

組織全体にかかわる中核問題を解決するためには、関係者の協力が不可欠です。

しかしながら、人は変化に対して本能的に恐怖をいだきます。特に納得できない変化に対しては、恐怖のあまりかたくなに抵抗します。

ですから、変革を実現するためには、関係者の抵抗を取り除き、合意・協力を得る必要があるのです。

TOC思考プロセスでは、人間の変化に対する抵抗心理を次の6段階の階層構造であるととらえています。

  @ 問題の存在に合意しない
  A ソリューションの方向性に合意しない
  B ソリューションが問題を解決できると思わない
  C ソリューションを実行するとマイナスの影響が生じる
  D ソリューションの実行を妨げる障害がある
  E その結果起こる未知のことへの恐怖



TOC思考プロセスで用いる5つのツリーは、この抵抗の6階層に基づいて構成されています。5つのツリーを順番に構築することで、抵抗の階層を一つずつ突破しながら「何を変えるか?」「何に変えるか?」「どのように変えるか?」の答えを見つけることができるのです。

                 5つのツリー




現状構造ツリー

現状構造ツリー作成の目的は、数々の“好ましくない事実”を引き起こしている中核問題を見つけること、つまり「何に変えるか?」の答えを見つけることです。

現状構造ツリーは、“好ましくない事実”を含む事実を因果関係で整理し、問題の全体構造を明らかにするフレームワークです。

“好ましくない事実”のほとんどにつながっている根本的な原因が、変えるべき中核問題となります。このツリーにより、中核問題が明らかになるため、「@問題の存在に合意しない」を突破することができるのです。


対立解消図

対立解消図作成の目的は、中核問題を解決するためのアイディアをひねり出すことです。TOC思考プロセスでは、問題は何らかの対立によって生じた結果であると考えます。

対立解消図は、中核問題の背景にある対立構造を明らかにするフレームワークです。その対立を解消するアイディアが、中核問題に対する解決策の指針となります。

このツリーにより、解決策の方向性が明らかになるため、「Aソリューションの方向性に合意しない」を突破することができるのです。


未来構造ツリー

未来構造ツリー作成の目的は、対立解消図で検討したアイディアが効果的かどうかシミュレーションし、そのアイディアが「何に変えるか?」の答えであるかどうか検証していくことです。

未来構造ツリーは、解決策によって本当に良い状態が実現されることを明らかにするフレームワークです。また、解決策によって生じうる副作用を洗い出し、それらに対する対策もここで検討します。

このツリーにより、解決策によって問題が解決されることと副作用に対する対策が明らかになるため、「Bソリューションが問題を解決できると思わない」「Cソリューションを実行するとマイナスの影響が生じる」を突破することができるのです。


前提条件ツリー

前提条件ツリー作成の目的は、解決策実行のためのロードマップを作成することです。

解決策を実行するためには、さまざま障害を乗り越えなければなりません。前提条件ツリーは、障害を克服した状態である「中間目的」と、それらをどのような順で実現していけばよいかを明らかにするフレームワークです。

このツリーにより、障害を克服していくシナリオが明らかになるため、「Dソリューションの実施を妨げる障害がある」を突破することができるのです。


移行ツリー

移行ツリーの作成目的は、解決策の実行計画を作成すること、つまり「どのように変えるか?」を描いていくことです。

移行ツリーは、前提条件ツリーで洗い出した各中間目的を実現するためのアクションを網羅的に洗い出すフレームワークです。ここで洗い出したアクションを束ねて、解決策を実行するための計画を作成します。

このツリーにより、解決策実行のためのアクションが明らかになります。



以上5つのツリーを作成することで、「何を変えるか?」「何に変えるか?」「どのように変えるか?」がすべて明らかになるため、「Eその結果起こる未知のことへの恐怖」を突破することができるのです。

このように、5つのツリーすべてを一連の流れで作成する以外にも、ツリーを個別に用いることで、問題発見や問題解決、アクションプラン策定などに活用すことができます。

海外では、学校教育のカリキュラムにTOC思考プロセスが組み込まれている国もあり、子どもたちは問題解決ツール、教科学習支援ツール、思考フレームなどとして活用されています。



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