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ジョナコースリポート

「ジョナコースって実際どんな風に進められているの?」そうお考えの皆様に、毎年2回、8日間に渡って実施されるジョナコースの様子を、リポート形式でご紹介します。
※このリポートは、GSCジョナ2018年夏期コース(対面式)に基づいています。

前半4日間

ジョナコースは前半4日間、後半4日間の二部構成となっており、前半と後半の間には二~三週間のインターバルが設けられている。前半の4日間では、TOCの基本的な考え方を理解し、TOC思考プロセスのはじめの質問である「何を変えるか?」について学び、受講生それぞれが設定したテーマに取り組んでゆくことになる。

オリエンテーション

コースの最初は自己紹介ならぬ他己紹介、初対面の相手を短時間のインタビューで皆に紹介するのだ。ジョナコースは受講生同士のレビューや、読み合わせといった共同作業が多い。このワークをスムースに進めるためには、相互理解が欠かせない。そのために、オリエンテーションの冒頭で他己紹介を行うのだ。
今回のコースでは企業の役員、管理者や専門職など7名が参加し、業種も製造、IT、アパレルなど多岐に渡る。多様なバックグラウンドの受講生がフラットに議論し学び合っていけることもジョナコースの大きな魅力だ。ちなみに、初日の夜は毎回ウェルカムパーティーが催され、受講生同志の仲間意識を醸成することになる。

TOC概論講義

他己紹介が終わると、午前中はTOCの基本的な考え方を学ぶ。『ザ・ゴール』のビデオを視聴し、概論の講義を受ける。
テキストは、コース終了後の講師間の振り返りで毎回見直され、必要なアップデートが加えられている。2018年夏の回では、大幅改訂した概論テキストを初めて使用した。

ケーススタディ

午後から2日目午前中にかけては、製造業をモデルにした短編小説を題材に、ケーススタディ講義が行われる。ケーススタディは、TOC思考プロセスの一連の流れについて、DBR(ドラムバッファーロープ)などのソリューション手法とセットで理解することを狙いとしている。ケーススタディを使う事で、『ザ・ゴール』で描かれた改善ストーリーと思考プロセスが密接に繋がっている事をより具体的に理解する事ができるのだ。
講義のなかでは、TOC思考プロセスの問題解決に必須の「UDE」や「クラウド」作成演習も組み込まれているので、これによって受講生は無理なく思考プロセスの考え方や用語に習熟することができる構成になっている。

TOC思考プロセス本編(前半)

2日目の午後からは、いよいよ本編に入る。本編では基本的に講義とワークを繰り返しながらコースを進めてゆく。講義では思考プロセスの手順の説明だけではなく、一般的な問題解決手法や、その背景にある考え方を説明する。そして、実際のワークでは、受講生それぞれが「自らが解決したいと考えているテーマ」を自分で設定して取り組んでいる。このため、コースは少人数制(定員8名まで)として、きめ細かなサポートを行っている。受講生は本編に入ると、自分のテーマと向き合って考える時間が圧倒的に長くなる。そのため講師は、受講生の読み合わせの相手になったり、必要な質問や助言をタイムリーに行い、受講生が自分自身でゴールに到達できるように伴走する役割に徹する。余談だが、ハードワークをサポートするアメニティとしてコーヒーやお菓子も欠かさず提供されている。

コース前半のカリキュラムは「現状ツリー」の作成までだ。4日目が終了する頃には、セミナールームの壁一面に作成された、「現状ツリー」の模造紙が貼り出されなかなか壮観だ。問題(UDE)と問題(UDE)が繋がり完成した「現状ツリー」を眺めて、愕然とする受講生も決して珍しくない。「現在の姿を映し出す鏡」とも形容される「現状ツリー」によって、好ましくない現実の全体像(何を変えるか)を映し出すことは、TOC思考プロセスの大切なステップであることは言うまでもなく、現実を正しく映し出してこそ、後半のステップで有益な戦略・戦術の構築を行うことができるのだ。

こうして、4日間のコース前半はあっという間に過ぎていく。後半までの間、受講生は各自が作成した「現実の姿」を持ち帰り、関係者とも協議しながら「現状ツリー」の論理構造を磨き上げる。そして、後半では好ましくない現状をどんな未来に変えて行きたいかを描き出し、そのための戦略・戦術を構築してゆく。意欲的な受講生と数週間後に再会できることは、講師陣にとっても毎回の楽しみだ。

クラウドマラソン

ジョナコースでは「クラウドマラソン」と呼ばれる日々の宿題がある。受講生は毎日ニュース記事などを題材にし、問題(UDE)を抽出して「UDEクラウド」を作成する。これを毎朝30分かけて相互レビューするのだ。これは前半と後半のインターバル期間もインターネット上で毎日続けられ、あたかも千本ノックのように、日々「UDEクラウド」を作成しては相互レビューを行うことで、適切な「UDEクラウド」を作成するためのスキルが養われていく。

後半4日間

コース後半の4日間では、TOC思考プロセスの2つ目の質問である「何に変えるか?」に取り組み、最後に「どうやって変えるか?」を考える。問題解決の手順を最後まで習得するとともに、各自の問題解決のためのロードマップを完成させる。こうして知識体系の理解と、実践のアウトプットの両方をやり遂げることで、ジョナとして必要な知見を得ることができる。

TOC思考プロセス本編(後半)

コース後半の皮切りとなる5日目は、受講生が持ち帰って検証してきた「現状ツリー」を完成させることから始まる。受講生同士でツリーを音読し、講師がチェックし、ロジックのつながりを精査する。完成基準は「これなら関係者の合意を得られる」と、本人が納得することで、それができるまでツリーの精査は続けられる。「現状ツリー」が完成すれば、「何を変えるか?」から「何に変えるか?」のプロセスに移って「インジェクション(解決状態の案)」を考える。インジェクションとは、コース前半の「何を変えるか?」の段階で見付けた根本原因が解消した状態を言語化したものである。インジェクションは、望ましい未来を描いていくための土台、扇の要とも言える大切な要素なのだ。

「何に変えるか?」のグランドデザインが決まれば、問題(UDE)が好ましい姿(DE)に変わるか、インジェクションが実現した後の未来像を描いた「未来ツリー」を作成してゆくのが6日目である。そして、好ましい姿(DE)の反面に想定される副作用に「ネガティブ・ブランチ」と呼ばれるツールで対策を追加すれば「未来ツリー」が完成する。7日目はいよいよ「どうやって変えるか?」のプロセスに入る。「前提条件ツリー」は、どのような順番でインジェクション(解決状態)を実現するか、また、実行を妨げる障害を克服するかを考える。そして最後に、実際の変化を起こすためにどのようにアクションを起こしていくのかを記述した「移行ツリー」を完成させればTOC思考プロセスの全ての手順を使いこなしたことになるのだ。

筆記試験

最終日の8日目は、朝のクラウドマラソンを終えるとすぐに、コース終了の第一関門となる筆記試験が行われる。ジョナとして充分な知識と実践力の両方を担保するために、知識を測る筆記試験だ。

プレゼンテーション

筆記試験を終えると2時間程度の資料作成時間を経て、受講生それぞれが、思考プロセスで取り組んだ問題解決について発表するプレゼンテーションの時間を迎える。自分以外の受講生が8日間でどのような問題解決に挑んだのか、受講生はみな興味津々だ。質疑も白熱し、1人15分の持ち時間はあっという間に過ぎて行く。

最終講義

修了書授与の前に最終講義が行われる。最終講義はTOC思考プロセスの背景にある考え方や今後の活用方法について総括的に学ぶ。8日間の学びがあるからこそ理解できることも多く、受講生は真剣に耳を傾けている。

修了書授与

ジョナコースの全てのプログラムを終え、所定の条件を満たすと、晴れてジョナとして認定される。GSCが認定するジョナ資格はTOC-ICO(TOC国際認証機構)に登録される正式ライセンスなので、名刺やプロフィールに記載する修了生も多い。筆記試験もプレゼンテーションも無事に乗り越えた修了書授与の場面では、晴れやかな笑顔が溢れる。

自分が解決したいこととは言え、同じテーマに8日間かけて真剣に向き合うことは、決して簡単なことではない。取り組むなかで行き詰まったり、悲観的な気持ちになる受講生も少なくない。しかし、TOC思考プロセスに沿って、とにかく真剣に論理的に考えて問題解決をしていくことで、各自が抱えていたテーマについての指針を得られる。修了書授与の時に受講生が見せる笑顔は、ジョナ認定のためだけではなくて、自分自身で8日間の問題解決について考え、解決のためのロードマップを作り上げた達成感にもよるものかもしれない。

2018年夏コースの受講生は団結力があってノリが良く、修了書を受け取るにあたって「ジョナポーズを取ろう!」という提案が出ました。テキストに掲載されている「おめでとう あなたはJonahです!」というメッセージに添えられたイラストを真似して、各自が満面の笑顔でポーズを決めて行き、講師も受講生も爆笑しながらの修了書授与となりました。

受講生にとっても、講師にとっても濃密なジョナコースの8日間。これからもGSCは新しい受講生の方たちとの出会いを楽しみに、TOC思考プロセスによる深い学びの時間を提供して参ります。
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