リーンTOCセールス&マーケティング革新活動
SalesBufferManager で、営業・マーケティングがこう変わる!
 
  ― 営業編 ―   
  提案営業編をPDFで読む  

  2013/08/06 安部部長、山並機械よりX210に関しての問い合わせあり。
詳細は以下の通り、対応求む。
 
     
朝メールを見ると問い合わせの案件が入っていた。 
  「新商品のX210なら、開発段階で売り方を検討していた菅原に行かせれば問題なく対応できるが、あいつもかなり忙しいようだ。そろそろ他の者に行かせて売れる人を増やさないと駄目だな…。新商品が出たらいつも「あいつしか売れない」になってしまう。
今回は新人の酒本にいかせようか。
今回導入した提案営業マネジメントシステム「SalesBufferManager」を使えばなんとかなるだろう。」
 
 
   SalesBufferManager とは  
 
  エリヤフ・ゴールドラットの開発した経営理論TOC(制約条件の理論)の考え方に、リーンの考え方と、最新のセールスマーケティング理論を加味し、ゴールシステムコンサルティングで開発した提案営業マネジメントシステム。
従来の方法では解けなかった商品(製品・サービス)、提案営業のムラ・ムリ・ムダを解消することを目的としている。
 
 
     

「酒本君、安部だ。新商品のX210の案件対応依頼が下記の通り入っている。マフィアオファーシートを作成して営業の準備をしてくれ。菅原が飯盛ソフトに提案したマフィアオファーシートを参考にすればできるはずだ。できたら菅原にチェックしてもらうように。」

「マフィアオファーシート??」 酒本は営業研修を思い出した。
「営業でいきなりカタログを出して機能説明してはいけない。そんな自慢話のようなことをすればお客様にいじめられるだけだ。きちんとニーズを引き出す質問をしてから機能説明するように。」
研修でこんな話しを聞いたことを思い出した。この話しは前職でも聞いたことがある。
しかし、お客様に質問すると言っても何を聞いたら良いのかわからないので、結局カタログを説明する営業をしてきた。

「うちの会社では過去の営業案件の質問がマフィアオファーシートにまとめられ、データベースに蓄積されている。これを使って質問をしっかり準備して営業にいくこと。」

 
   マフィアオファーシート とは  
 
   TOC(制約条件の理論)では、「人は変化に対し6段階に抵抗する」としており、納得を得るためには6段階を順次合意形成していく必要があると考えている。
提案営業で契約を勝ち取るためには、お客様に合意してもらわなければならない。
6段階の抵抗それぞれに対しどのような質問や提案営業を行えばよいのか、A3サイズ1枚に簡潔にまとめたものが「マフィアオファーシート」である。
通常は、商品(製品やサービス)ごとにトップ営業マンが典型的なものを作成し、各営業担当者がお客様ごとにカスタマイズして活用する。これによりトップ営業マンのノウハウを全営業マンが共有して、成約率のムラをなくし、高めていくことを狙う。
 
 
     
   
酒本は研修の内容を思い出しながらブラウザーを立
ち上げSalesBufferManagerにログインした。

ログインすると、Plan Do Check Actというナビゲーションがあり、自分の営業案件を登録するDoを選択し、個人別バッファチャートを開いた。ここには自分が担当している営業案件が一覧できる。
問い合わせ対応のメールを見ながら案件の基本情報を入力、Actマフィアオファーシートの作成画面にうつると、安部部長からのメールに参考になると書いてあった案件「飯盛ソフト向けX210」のマフィアオファーシートを開いてみた。

確認質問・問題質問・重大質問といった質問が書かれている。
「プロジェクトが複数同時進行しており、状況を把握するのが困難ではないでしょうか?」
「マネージャーが対応しなければならない“遅れプロジェクト”発見が遅れ、対策に必要なコストが多くかかっていませんか?」こんな質問だ。
この質問に対して、解決された状態と、解決を実現する機能が書かれている。
なるほどこれを使えば今回のお客様向けの質問を作れそうだ。

しかしこのシートはソフトウェア開発会社向けに書かれている。今回の装置メーカー相手にこのままでは通じないだろう。例えば装置メーカーでは「プロジェクト」とは呼ばず、「製番」とよぶ。細かいところを修正した。
更に懸念事項、対応方法など他の項目も一通り確認し、山並機械向けX210マフィアオファーシートを完成させ、酒本は菅原氏のもとに向かった。

 
 
「菅原さん、今度入社した営業3課の酒本です。山並機械へのX210の提案を担当することになったので教えてもらえませんか?」


「おぉ、酒本君。君の前職は確か装置メーカーだったね。だから担当になったんじゃない?」

「そうなんですよ。お客様の状況はだいたいわかるのですが、X210がどんなものか知らなくて。」

「提案営業は、商品のことより、お客様のことを知っていることの方が重要だよ、俺なんか開発と一緒に売り方を開発してきたから、どうしても機能自慢したくなるけど、ぐっとこらえてニーズの質問をするようにしている。商品のことをあまり知らない方がむしろいい営業できると思うよ。マフィアオファーシートは作った?」

「はい。こちらがマフィアオファーシートです。」

「あぁ、ちょっと書き換えているんだね。この製番って何?」

「うちらの業界ではプロジェクトのことを製番っていうんですよ。私がこの会社に入ってプロジェクトって言われても分かりませんでしたので書き換えてみました。」

「へぇ、そうなんだ。このシートはこういった知識を共有できるところが良いところなんだ。俺も勉強になるよ。ところで重大質問の方はうまく作れたか?」

「菅原さんの書いているままにしていますが、これでいいでしょうか?」

「重大質問というのは、お客様が我々に投資頂く金額よりも効果があるということを認識してもらうためにあるんだ。問題質問で聞いた困りごとが、会社全体にとって重大な問題だということを認識してもうことに目的がある。十分準備して聞いておかないといけないよ。」

「なるほど、それは分かるのですが、今回会う方は設計の課長さんなので、売上のロスとか、お客様のお客様への影響を聞いてもわからないんじゃないでしょうか?」

「そうだね。俺も初めはそう思ったよ。けど、課長さんにうちの商品が良いと思ってもらっても、買うと決断することはできない。たぶん部長に稟議をあげて、最終決定は事業部長になるよ。課長には現場の困りごとを聞けば十分かもしれないが、事業部長には会社全体の重大な問題解決を求める。課長にそのことを認識してもらわないと、彼から稟議をあげても落ちてしまうよ。それを認識してもらうために重大質問を使うんだ。」

「なるほど、確かに課長だけに話して1回で決まるとは思えません。後のことを考えて質問しておかないといけないんですね。ところで、X210は何回ぐらい営業して買ってもらえるのが普通ですか?」

「マフィアオファーシートの右下営業プロセスを見てみろよ。典型的な営業プロセスを書いているよ。最低4回ぐらいは訪問するだろうから、焦らず質問して十分な合意形成を取っていくことを考えておきな。まぁ最初の訪問は問題質問と重大質問を十分して、お客様の話を聞くのが重要だから。まずは準備した質問をして、しっかりお客様のお話を聞けば大丈夫だよ。質問した結果は案件共有シートに点数とコメントを記入しておいてくれ。それを見ながら次の訪問の作戦を一緒に考えよう。」

 
 
   案件共有シート とは  
 
   マフィアオファーシートを作成して十分に準備をしたあと、お客様に提案営業を実施する。このときの質問に対するお客様の反応を点数とコメントで記録するシートを案件共有シートと呼んでいる。
ここに質問に対する反応を記録しておくことで、提案書作成が容易に行えるようになる。
更に、どのような役職・タイプのお客様と話したのか等を記録し議論することで、お客様の組織内の複数の関係者を合意形成に導くための作戦を、自社の営業部長・技術系の担当者などと一緒に検討するチーム営業が可能になる。




 
 
 
     
 
8月11日 10時 営業会議にて
 
 
酒本は営業会議に参加した。前職での営業会議は本当に嫌で、会社を休もうかと考えたこともある位だったが、この会社のそれはまるで違う…。

「では、営業会議を始めます。今日の司会は工藤が行います。まず全体バッファチャートから確認しましょう。現在、黒2赤24黄15緑15件で、レッドゾーン比率40%、黒赤の案件がやや多い状況です。まず黒と赤の状況を担当者から報告してください。」

「山本加工の案件についてですが、案件共有シートに記入したとおりでニーズにあっていない状態で、これ以上提案を続けても我々お客様双方にメリットがないと感じています。」

「飯盛マシナリーの案件ですが、設計課長・生産計画課長ともに問題質問・重大質問に強く合意しており役員の方も合意している状態です。しかし部長が抵抗を示しておりもう少し合意形成に時間をかけたいと考えています。」

「部長、報告のあった黒の1件、赤の2件は営業を停止することでよろしいでしょうか?」

「飯盛マシナリー以外は失注扱いとすることにしよう。」

「では次に商品群ごとの状況を報告します。Zシリーズは必要仕掛数11件に対して14案件、赤6黄6緑2の状況です。案件数は多いですが、赤の比率が多くバランスが悪い状況で、今後案件数が減少することが予想されます。プロダクトリーダーの後藤さん、この状況に関して何か考えていることがありますか?」

「既に過去のニーズの合致度が高かった案件に対して電話をするよう指示しています。再来月行われる展示会にて見込客が増加することを想定しておりますが、やみくもに追うと適正仕掛案件数を大幅に増加し営業負荷が高まりすぎるので、展示会では問題質問を行い、見込客の分類を行うべきと考えていますが、いかがでしょうか。」

「では本件は担当営業と別の時間に議論するようにしましょう。Xシリーズの黒赤以外で報告すべき案件はありますか?」

「初回訪問したiソフトの件ですが、当初Xシリーズと思い質問をしてみたところ、Yシリーズの方がニーズに合致すると思われます。再訪問の準備を行いたいのですが、このような案件に似たマフィアオファーシートはないでしょうか?あれば後で教えてください。」

「では次にYシリーズの状況確認に移ります。赤5黄10緑10、必要仕掛数21に対して現在25件営業中です。」

 
 
   バッファチャート とは  
 
   目標受注高を達成するために今の案件数は少なすぎるのか、多すぎるのか?数ある営業案件のうち、どの案件を営業部長はフォローアップすべきか?このような質問に答えるのが営業バッファチャートの目的。
バッファチャートを活用することで、計画された受注高を達成するために常時必要な案件数と現状の案件数が表示され確認が容易にできる。
また、各営業案件の進捗を危険度に応じて黒・赤・黄・緑・白の5色に分類することで、営業部長が着目すべき営業案件を明らかにする。これを活用することで営業会議の効率化を狙う。
 
 
     
 
酒本は、営業会議に参加しながら前職の時の営業会議を思い出していた。
前職の営業会議では売上が未達の月は悲惨で、皆の前で立たされてなぜ未達なのか説明をさせられた。
「おまえは会社にずっといてPCばかり使っている。会社にいて仕事がとれるのか?PCは禁止だ。」と課長にひどく怒鳴られる。
いつも未達の自分は謝りながら、「来月はなんとかします。」と根拠もなく言うしかない。

トップ営業マンの人も未達の時は厳しく怒鳴られる。ところが、トップ営業マンは自分とは違い、反論する。「うちの商品ではこれが限度だ。そもそも高すぎる。お客様からこの機能がないと買えないと言われた。」と、お客様から追加要求された機能をまとめたリストを差し出す。そして、「うちの開発は何度言っても追加開発してくれない。どうなっているんだ。」と、怒鳴り出す。
別の営業マンからは、「マーケティング施策が弱すぎるのが原因だ」との話し。しかし、「うちにはマーケティング部はない。これが問題だ。」と、いつもの話しを課長が始める。

最後は、部長から「言い訳するな」と一喝され、部長の大演説が始まる。
創業当初、機能は十分でない商品をどぶ板営業で売りまくり、会社を作り上げてきた話し。もう30回は聞いたか。こんな精神論をしていて売上が伸びるのだろうか。こんな時間は本当にムダだ。前職での営業会議ではいつもそんなことを考えていた…。


「おい、酒本。Xシリーズの報告があるんじゃないか?この黄色の案件おまえのだろ。何ボーッとしてるんだ。」

「すいません部長。山並産業向けX210提案の件ですね。詳細は案件共有シート通りですが、月曜日5回目の訪問を実施し、契約をもらえました!
お手伝い頂いた菅原さん、皆さん、ありがとうございました!」



 
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