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  ― マーケティング・商品企画編 ―   
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  2014年4月6日 商品企画部門からXシリーズの新商品の開発計画が告げられた  
 
今回のターゲットは装置メーカー向けを想定しているとのこと。酒本は、新商品の売り方の開発を担当せよ、と命じられ開発部へ向かった。開発部の部屋には初めて行った。

「うちの会社にはこんなにも開発者がいたのか。売り方を開発すると言われたが、まだ商品は開発できていないはず。一体何をやるんだろう…。」

「今回新商品のコンセプト作りに、営業・開発・商品企画の3名集まってもらった。それぞれの部門の意見を代表して、コンセプト作りを行って欲しい。Xシリーズの前回の開発は、商品企画部門で顧客ニーズ調査、開発部門で開発実行、営業部門で売り方を開発するという流れで実施した。売り方の開発は初めて行ったが大きな成果をあげている。今回の開発では、この売り方の開発を商品開発の前に実施する新しい進め方を展開したいと考えているのでよろしく。」

「営業部の酒本です。私はこの会社に来て1年も立たない新人ですが、作成して頂いたマフィアオファーシートを活用してXシリーズを装置メーカーから多くの契約を頂きました。開発については何も知りませんがよろしくお願いします。」

「開発部の森田です。我々の作ったマフィアオファーシートが使えたのはうれしい限りです。しかし、前回の開発は決して褒められたものではありませんでした。仕様変更が多発し、根本的なコンセプトも二転三転しました。売り方を開発する活動を始めて収まりはしましたが、前回のようなことはないよう、商品企画をきちんと作って開発に渡してもらうようお願いします。」

「商品企画部の松本です。商品企画をきちんと作れとのことですが、前回は調査系のコンサル会社を使ってお客様の声を収集、アンケート調査をして分析するといった手続きを踏んで企画しました。これ以上きちんとするといったことは難しいでしょう。開発側が企画の理解が足りていないのが問題だったのではないでしょうか。部長いかがですか?」

「まぁまぁそう揉めるな。前回問題があったからこうして3名を呼んで新しいやり方をしようとしているんだ。まず3名ともに意識して欲しいのは、俺は営業、俺は開発、俺は企画といった組織の壁を作るのをやめてくれ。市場環境は今までにないスピードで変化している。今までのような壁を隔てたバケツリレー方式ではうまくいかない。ラグビーのスクラムを組むように、3つの部署が一緒になって開発を進めて欲しい。そのためにまずはお客様のことを中心に考え、売り方を開発することから始めて欲しい。3名は明日10時から早速話し合いを始めてくれ。」

 
   
4月7日 10時 開発会議室
 
 
「部長はまず売り方を開発することから始めてくれ、と昨日言っていたが、まだ開発できていない物の売り方を開発できるのだろうか?」

「松本さんの言うとおりですね。しかし、前回のように顧客の声をアンケートで集めてもあまり意味がないと思います。表面的なニーズばかりになって、本質的な開発につながらないですから。そもそもお客様はうちのような商品の選定を経験するのは、2、3回しかないですし、他社製品のことも知らないでしょう。開発としては、お客様に直接聞くという方法はよくないと思います。」

「確かにお客様に直接何を開発すれば良いのか聞いても、いい答えはもらえなかった。しかし、お客様のニーズがないものを開発しても売れるはずがない。難しいなぁ。」

「私はまだ入社して1年なのでよく分かっていないのですが、Xシリーズは皆さんで売り方を開発してマフィアオファーシートを作ったと聞いています。これを使って次期商品を考えられないでしょうか?」

「と、言うと?」

「皆さんの作って頂いたマフィアオファーシートにある、3つの機能と質問についてですが、装置メーカーを回っているとそのうちの1つはニーズが低くいつも点数が低くなります。私は前職装置メーカーにいたので分かるのですが、この問題はソフトウェア開発では重要でしょうが、ハードウェア設計ではポイントがずれてしまうように思うのです。ですので、今回装置メーカーをターゲットにするのであれば、1つ入れ替えてアピールできる機能の開発が必要ではないかと思うのです。」

「なるほど、沢山営業している人の声は重みがあるな。」

「もう1点の機能については、確かにニーズが高いです。ただ、この機能が重大な問題を解決すると説明するときに、使い勝手が悪いのが気になります。この機能に関する使い勝手も検討課題ではないでしょうか?
最後に、マフィアオファーシートに書かれている典型的な懸念事項への対応は、私のように業界に通じているとうまく説明できるのですが、皆苦戦しているようです。これを解消することも考えたいですね。」
 
 
   マフィアオファーシートを活用した開発コンセプト立案  
 
  売り方を開発するマフィアオファーシートを作成することで、お客様目線でみた商品コンセプトをまとめることができる。
これを見直すことで現行品のバージョンアップ開発・派生開発コンセプト立案を効率化することができる。
 
 
 
 「すごく整理されているな。営業部門でそんな話し合いをしているの?」

「いや特別しているのではないのですが、営業会議で報告されることを聞いていると皆の状況がわかるのです。」

「なんか営業部は変わったな。昔はお客様に言われたことを検証もせず、そのままうちの企画部にもってきているだけだったのに。」

「今の3つの観点が全てではないだろうが、まず3つを検討してみよう。商品企画の方で今の件をもう少しまとめてみる。来週火曜日に再度集まろう。」

 
   
4月21日 15時 開発会議室
 

3名は話し合いの結果、特徴的な3つの機能のうち、1つを新しいものに変える重大なコンセプト変更案を考えた。1つの案はまだ開発されていないが開発者の書いたポンチ絵があり、これで解決できる問題は重大だと思われた。

「案はできたが、問題はこれが果たして本当に売れるかどうかだな。」

「じゃぁ、自分がこの機能がいるか直接お客様に確認して来ますよ。」

「酒本さん、それはいいけど、まだ開発できていない物をお客様に見せるのは開発部としてはまずい。できないかもしれないし。」

「いや機能を見せるのではなく、この機能で解決できる問題の存在を聞きますよ。つまり、この機能に関する問題質問をマフィアオファーシートで作り、点数をつけてきます。」

「なるほどそれなら大丈夫だ。聞けるお客様はいるの?」

「現行のXシリーズの営業をしていますのでついでにやりますよ。特段新しいことをやるわけではないです。」

「松本さん、やみくもに聞くだけでいいのかな。」

「そうだね。前に調査してくれたコンサルタントは、お客様のタイプをいくつかにわけて調査していた。セグメンテーションとかいっていたよ。今回もいくつかタイプを分けて点数をつけて、どこに売れそうか分析してみようよ。」

「了解。では顧客リストを作るので分けてみてください。訪問は私がします。」

 
   案件共有シートを活用したターゲティング戦略立案  
 
  マフィアオファーシートは通常、営業・開発・商品企画の代表者を集め検討するが、この検討は商品を開発し販売する側の立てた仮説でしかなく、この仮説を商品を買って使う側のお客様について検証しないまま開発を進めると、商品が売れないという失敗を生んでしまう。
そこでマフィアオファーシートをあらかた作成したら、すぐお客様を訪問し、仮説を検証していく必要がある。このときやみくもに検証するのではなく、顧客を3つ程度のセグメントにわけ、検証していく。
検証では案件共有シートを活用し、各質問に対して点数をつけていく。この点数を集計することで、本提案がどのセグメントでニーズが高いのか分析することができる。ニーズが明らかに高いセグメントを発見できれば、今後集中して営業すべきターゲットが明確になり、成約率を高めることが可能になる。
 
 
     
   「それと、そろそろ競合のことも考えないといけないよな。俺の方で競合の機能を見てみて、どういう立ち位置で売っていけば良いか案を考えてみるよ。」

「前に売り方を開発した時にあげた、特徴的な機能の2つは今まで通りアピールするんだよね。なら開発の方では、これを他社に比べてダントツにする仕様を考え始めるよ。」

 
 
   対立解消図を活用したポジショニング戦略立案  
 
  商品を提案するときは、競合商品との関係が重要だ。お客様は競合商品との差を聞きたがる。これは社内の購買の手続き上、お客様が説明しなければならないからだ。
お客様にとって買いやすい環境を作るためには、我々から競合品・代替品との関係を説明する必要がある。この説明方法を検討するとき、TOCの合意形成のための図「対立解消図」を作成することで、明確なポジショニングトークを作成することができる。
 
 
     
 
このようにマフィアオファーシートを活用して議論することで営業・開発・商品企画が一体となった素早いマーケティング戦略立案が可能になる。
これまでの商品開発の流れは、大量のデータを時間をかけて集め、詳細なマーケティング分析を行い、それから長い期間かけて開発を行っていた。しかし、このようなやり方だと激化する競合との競争や変化の激しい顧客ニーズへの対応ができなくなる。
この問題はマーケティング部門や開発部門にあるのではない。組織の壁を作った進め方自体が時代に合わなくなっているのだ。市場のスピードに合わせて、もっと素早く、小さく仮説検証していく新しい進め方を確立していく必要がある。マフィアオファーシートを活用した商品コンセプト立案はこれをサポートしていくことを目的としている。


 
       
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