Total Solution Provider Applying Theory Of Constraints
ゴール・システム・コンサルティング株式会社
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ダイナミック・フロー・マネジメントとは

私たちのミッションステートメント

ゴール・システム・コンサルティング株式会社は、TOCをベースとした20年間のコンサルティング経験から生まれたダイナミック・フロー・マネジメントにより、「組織化と人材育成」「ナレッジ」「ビジネスプロセス」の三つのフローを継続的に改善することを通じて、変革と価値創出のスピードの飛躍的な向上を実現します。

VUCA(ブーカ)と呼ばれる今日、企業経営で求められるのは「短期と長期」や「変化と安定」といった、一見相反する二つの要素「二律背反」を克服し、安定的に成長するための戦略的な行動です。

これは世界標準の経営理論が膨大な実証研究の末に導き出した一つの回答ですが、「イノベーションのジレンマ」「両利きの経営」「ダイナミック・ケイパビリティー」「ナレッジマネジメント(SECIモデル)」など、現代のスタンダードと言われる「経営理論」は多くの実証事例を研究し法則化したものですから、そのまま実践する事は容易ではなく、実践するには標準的なフレームワークが別途必要とされます。

弊社が提唱する「ダイナミック・フロー・マネジメント(DFM)」は、これらの経営理論の法則性を活かし、「経営成果」に繋げるための具体的な方法論であると同時に、弊社が20年にわたって実践してきた「TOC(Theory of Constraint:制約理論)」を最大限活かす実践論です。

目次

1.TOCを再考する

2.TOCはそもそもダイナミックなもの

3.TOCと経営論の一致点、相違点

4.組織にダイナミック・フロー・マネジメントが根付くと起きる事

5.GSCが20年にわたって実践してきたこと

6.ダイナミックフローの三つのポイント

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1.TOCを再考する

エリヤフ・M・ゴールドラット博士(1947年-2011年)が開発してきたTOC(制約理論)、日本でも大ベストセラー(2002年)になった小説「ザ・ゴール」に記されたその考え方を、翻訳出版よりも遙か前(1997年)に日本で初めて実践・普及に取り組んだのが、弊社代表取締役である村上でした。

そもそもTOCは日本のトヨタ生産方式(TPS)を徹底的に研究し、その考え方を汎用的に進化させたもので、80年代中盤から具体的なソリューションが開発されてきました。その核(コア)は「システム全体の能力はボトルネック工程(制約工程)の能力以上には上がらない」という極めて「ベタ」で「当たり前」のものでした。

その「当たり前」をベースに開発されたTOCが、生産現場に著しい成果と利益をもたらします。村上らの活動も、日本語文献などがほとんど存在しない中、考え方の基本を抑えた活動のみで生産工程の改善は大きく進んだといいます。その後TOCは、その「制約」の捉え方、扱い方を拡張し続け、制約(ボトルネック)こそが企業収益を握る鍵であると、企業内外の様々な活動を「制約」にフォーカスさせる事を主張し、そのために具体的な手法を次々と展開してきました。

しかし、開発者のエリヤフ・ゴールドラット博士が64歳という若さで亡くなったこともあって、その手法が直接カバーする領域は、生産やプロジェクトなどのオペレーション領域と、組織のジレンマを明らかにして解決する問題解決領域などに点在しています。この結果、TOCは一見すると異質な手法が寄せ集まったようにも見え、実践でどのように適用すれば良いか「決め手」を欠き、結局のところ小説『ザ・ゴール』を何度も読む事が推奨されたりしています。このような手法適用上の混乱に対処し、体系化へのニーズが弊社ダイナミック・フロー・マネジメントの開発の背景にも繋がっています。

2.TOCはそもそもダイナミックなもの

ダイナミック(動的)とは、状態や構成が状況に応じて変化したり、状況に合わせて選択する柔軟性を持っていたりすることを指します。

工場現場で物理的な制約(ボトルネック)が動きまわるムービング・ボトルネックという現象がありますが、そもそもTOCは制約が次々に変化する事を前提として開発されました。ゴールドラット博士がその著作「巨人の肩の上に立って」で主張するように、市場や製品の動向によって、売れ行きが良く生産が逼迫して供給が間に合わなかったり(内部に制約)、売れ行きが落ちて市場の購買力が制約(外部に制約)になったりする事を繰り返すのがTOCが想定する環境であり、TOCはトヨタ生産方式が対応しきれない、変動性が高い環境に対応するために開発されたものなのです。

このように「制約」は「今」という静止した一瞬を切り取れば一つですが、連続した時間軸の中では様々な要因でランダムに動きまわる「動的」な性質を持っています。そう考えると制約(Constraint)とは、システム(しくみ)の能力を決める物理的な因子であり、それ自体は良いものでも悪いものでもなく、ただそこに自然に存在するものだという事が理解できます。

次の1.~5.は「集中の5ステップ(Five Focusing Steps)」、ザ・ゴールでTOCの基本として示されているものです。この集中の5ステップ、ともすると「制約への集中(Focus)」や「継続的改善(POOGI)」といった心構え的な側面が強調されますが、実はこのサイクルそのものが変化し続ける制約に正しく対応する為の原理・原則であり、まさに「ダイナミック」なのです。

1.制約を認識する(Identify)
2.制約を徹底活用(Exploit)する
3.その決定に皆が従属(Subordinate)する
4.制約を強化する(Elevate)
5.惰性に注意して、最初のステップに戻る(Inertia)

しかし今日、状況は混迷の度合いを深め、VUCAが時代を表すキーワードの一つとして注目されています。

VUCAとは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字で、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が非常に困難な状態にある事を指しており、TOCが想定した環境とは大きく異なってきています。

これによって「ものづくり」の世界も「変動性(ばらつき)」に対処するだけでなく、「複雑性」と「あいまいさ」によって大幅に増幅される「不確実性」に的確に対処することが求められています。

3.TOCと経営論の一致点、相違点

日本に導入されて既に25年になるTOCですが、意外に知られていない「盲点」となっているポイントがあります。それは、「制約」は目に見える「物理的」な存在ですが、その制約を作り出すのは必ず「人間の行動」だという事です。その意味でTOCは、物理的な制約を取り扱う領域、これはMRPなどのスケジューリング論やOR(オペレーションズ・リサーチ)などの知見を活用する「自然科学」の分野と、人間や組織の行動を扱う「社会科学」の分野にまたがる手法の集合体です。

一部にTOCを「社会科学の領域で再現性のある科学」と説明する向きもありますが、これは上記の理由で全く実体と異なると思います。一方経営学も同様に、人と組織を対象としてその思考、意思決定、行動の普遍的なあり方、メカニズムを解明する学問であり、大まかに「経済学」「心理学」「社会学」という学問分野の知見を活用しており、純粋な「社会科学」の一分野である事が知られています。このTOCと経営学、若干領域が異なる部分はありますが、目指すところは「科学」であろうとしていることに共通点があるのです。

経営学が科学的な理論(Theory)である事について、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授の解説によれば、理論(Theory)とは、何が(What)を著述するものではなく、「どのようにHow」「いつWhen」そして「なぜWhy」に応えることが目的だといいます。
(引用はコーネル大学サミュエル・バチャクラ教授の論文:1989)

「How」とは、「X→Y」のような因果関係を指し、Xが成立すれば、Yが発生するといった関係を示す命題です。そして「When」は、その理論が通用する範囲や条件を意味し、理論が持つ仮定や条件から、その適用範囲を明確にするための記述です。

そして最も重要なのが「Why」に応えること、要するに「How」のような因果関係を示しても「なぜそうなのか」が明確に説明されなければ、それは理論ではないという事なのです。

ですから、経営理論(Management Theory)は、多くの企業や組織に普遍的に当てはまる、ビジネスの真理法則を提示する事を目指しています。これは単純に「ボトルネックがシステムのアウトプットを決めている(How)」というだけではもちろん不十分で、「Why(なぜそうなのか)」、「When(適用出来る範囲や条件)」を出来る限り「具体的」に明らかにしなくてはならないという事なのです。

4.組織にダイナミック・フロー・マネジメントが根付くと起きる事

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多くの問題を作り出すのは人間の行動ですが、人間は完全に合理的な存在ではなく、その行動の背景には「思い込み(認知バイアス)」や「評価」、「しがらみ(損得勘定)」など様々な理由が隠されています。

上の図は我々が考える「制約の基本構造」ですが、「目に見える表層的な問題」と「目に見えない中核的な問題」がセットで存在することで、「システム」内に多くの問題やスループットの低下が引き起こされている事が理解できます。

弊社のダイナミック・フロー・マネジメントのポイントは、この「制約の基本構造」をフレームとして変革のアプローチを考える事で、組織固有の(How、Why、When)に明確に答える事が可能となり、極めて論理的な改革を行う事が可能です。

先に述べたように、様々な問題を引き起こすのは「人間の行動」ですが、その背景にある様々な理由をセットで分析して改革を行いう事で、「ややこしい人間」と、様々な「組織的なしがらみ」を同時に改革し、変化に素早く対応出来る「しくみ」を創り上げることが可能となります。

5.GSCが20年にわたって実践してきたこと

弊社では、コンサルティングのドメイン(対象領域)を「人」と「組織」と「仕組み」と定め、この三つを改革するコンサルティングを20年間続けています。その20年の歴史の中で特徴的なのは、クライアント企業では必ず次世代を担う中核人材が育つ事です。これは業績的な成功によって人が育つというだけではなく、「仕組み」を改善することで、組織のあり方や製品、ビジネスがダイナミックに変わり、結果的に人材が育成されるという「流れ(フロー)」を端的に示しています。

今日のVUCA環境から発生する「問題」の多くは「あいまい」で「不確実」、さらに日本の企業・組織は、問題解決よりも「空気」や「場」など、集団への帰属を優先する場合が多いと言われます。そのような日本企業の特徴を踏まえて、私たちが創業以来続けてきたのが「共創ワークショップ」を中心にした「場」作りのアプローチです。

私たちのワークショップは、まず人と人、組織と組織をつなぐ「人間関係」の構築を行い、信頼をベースとして、改革・改善を進めてゆきます。そして、これを基盤にTOCのフロー・アプリケーションを活用して「しくみ」を変え、モノと情報の流れを改善します。その活動を通じ、チームで「知識ギャップ」を埋めることによって、暗黙知を形式知化するナレッジマネジメントを実現して行くのです。

5-1.pngその論理的背景が、一橋大学名誉教授である野中郁次郎氏が提唱する「SECIモデル(ナレッジマネジメント)」と、MITのダニエル・キム教授らが提唱する「成功の循環モデル」です。

SECIモデルは、組織成員一人ひとりが持っている「暗黙知(知識や技能)」を組織的に管理し、「形式知」として組織の財産としたり、そこから新たな知を育むための枠組みのことで、共同化、表出化、結合化、内面化という4つのプロセスで構成されています。

「組織の成功循環モデル」は、組織が成果を上げ続け、成功に向かう過程や仕組みを明らかにしたもので、組織としての「結果の質」を高めるには、一見遠回りに思えても、組織に所属するメンバー相互の「関係の質」をまず高めるべきという考え方です。ですから、組織的な成果(結果)を上げるために、まずは組織成員相互の「関係の質」を高めるアプローチからから入り、順次「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」と高めてゆくという考え方です。

ナレッジフローを実践する上で暗黙知を移転したり、暗黙知を形式知に変換するなどの、チームや組織での共同作業では、成否が組織成員同志の関係性などに左右されることが多く、積極的な「場作り」によって、まずは「過去の悪循環」と決別する事が未来指向の活動を成功させるポイントとなります。

換言すれば「成功の循環モデル」が機能する事は「SECIモデル」が機能する前提条件であり、同時にSECIモデルが上手く回り始めれば、組織の関係性が良くなり結果が出るという構図も成り立つのです。

6.ダイナミックフローの三つのポイント

ダイナミック・フロー・マネジメントは、以下の3つのフローを環境に応じてダイナミックに組み替え継続的に改善することを通じて、変革と価値創出のスピードの飛躍的な向上を実現します。

(1)「ビジネス・フロー」
ビジネス・フローの革新とは実際のビジネスの速度を上げてゆく、別の言い方をすればスループットの最大化であり、受注を促進して川幅を大きくして売上を上げることと、川の流れを早くして短いリードタイムで流れるようにするという、二つを同時に実現する事です。

川幅を大きくする活動は、TOCマーケティング、流速を早くする活動(オペレーションマネジメント)においては、S-DBRやDBM、リーンCCPMなどのTOCフロー・アプリーケションの諸手法を適切に組み合わせて、実際の業績やROIを大幅に改善してゆきます。

(2)「ナレッジ(知識)・フロー」
短いリードタイムで効率的なものづくりを行うためには、様々な情報を遅滞なく関係者間で共有し、素早い問題解決が求められます。そして私たちのドメインを体現する具体的な場が「共創ワークショップ」の仕組みです。

この活動は参加者自らが主役となり、問題や課題について、テーマやあるべき姿を考えながら実行することが最大のポイントになります。有識者は知識を付与したり、経営層とともに参加者の主体的な実行を支援するという役割を担う事で、「経営成果と、実践のナレッジ(知識)蓄積を通じた、人と組織の成長」の両方を目指します。

現実の様々な情報は仕組みやシステムの中に埋もれて目に見えないものばかり、そのような状況の中、現地現物で現実を正しく見る事は難しい課題です。しかし、ワークショップ活動は、メンバーが共に見て「目合わせ」を行い、認識を積み重ねる事によって「三現主義」を自然に実行させ、暗黙知を形式知化し、さらにナレッジフローを高め続ける事が出来るのです。

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(3)「アクティベーション(組織化)・フロー」
今日多くの企業では、全体をそれぞれの要素に切り分け、専門ごとに細分化して分業するという、いわゆる機能型組織を運用しています。しかし、この組織構造は変化の激しい今日では有効に機能するとは言い難く、求められるのは変化に対応する形でダイナミックにチームを組み替えることの出来る柔軟性です。

アクティベーション(組織化)フローの狙いは、組織が持つ潜在能力を100%発揮させる事、そのためには一人ひとりのメンバーが目的に向かってオーナーシップを持ち、メンバー同士の信頼関係をベースに業務を進める事が出来る状態を創り上げる事がポイントになります。これによって組織の中にハーモニーが生まれ、改革の実践によってフローが良くなり、人が育ち、組織ナレッジが蓄積されるのです。

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ダナミック・フロー・マネジメントは天才を作る活動ではありません。
しかし、人が人の知恵に相乗りして知恵(実績)を積み上げるという正しい思考手順を踏めば、一人が二人、五人、十人と力が生まれ、天才を超える業績を上げることができる「集団天才」を創る事が可能になるのです。


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