TOCの概要(TOCワンポイント)

原価の擬着性について

日付:2004/09/13

「原価の擬着性について」
〜そもそもTOCには新しいものが何もない(補足)〜 
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村上悟が様々なTOCへの批判や意見に答えてゆきます。
ご期待ください。 

今回は前2回のスループットに対しての補足です。
私の説明が良くなかったようで、いくつかご質問を頂いていますので、
補足させて頂きます。

説明足らずの文章(前回のメルマガより)
会計的にスループットを定義してみると、既存の限界利益と、ほとんど
違いは見られません。唯一の違いはI(Inventory)に直接人件費を含
めるか否かだけなのです。

指摘
もう一つの違いとして、原価の擬着性(コストアタッチ)は無視して良
いのですか?

答え
いえいえ、良くありません。
きわめて、基本的なことを無視して説明をしてしまいました。お詫びし
ます。

前回の説明の中でも、ゴールドラット博士が「企業全体の利益は存在し
ても、各製品ごとの利益は存在しない」と主張しているという説明をし
ましたが、原価計算の世界では「製品は工程を進み、加工されて行くと
その価値を高めてゆく」という考え方があります。この考え方を実務に
展開すると、第一工程が完了した中間仕掛は、第一工程での発生費用を
負担し(計算的にはプラス)、価値を高めたように見えます。

たとえば100円で仕入れた材料を第一工程で加工したとします。第一
工程では作業員1名で、月200,000円の人件費が発生するとすれ
ば、付加価値はどう考えれば良いのでしょうか?
発生費用=付加価値と考えれば、作業員の人件費10万円ですね。これ
を製品一個あたりに負担させる方法はどうしたら良いでしょうか?

そうです、仲良く割り勘すればいいのです。
100個生産したのなら、一個あたりは2千円ですし、一個しか作らな
かったら一個あたりは10万円まるまる負担という事になります。

なんだ、付加価値といっても原価計算と同じでは?という意見が聞こえ
てきそうですね。

そうなんです、計算方法は原価計算と一緒です。
しかし、この付加価値の考え方が必要なのは、月末や期末といった締め
切り処理です。

月次の決算時点で、第一工程には10個の仕掛かりが滞留していたとす
れば、その10個の評価は原材料ではなく、製品でもない「中間製品」
として、評価しなくてはなりません。

そして、その中間製品の評価は、第一工程にある仕掛と、第2工程にあ
る仕掛は加工度合いが違うので、同じではいけないと考えるのです。

この付加価値の考え方は、あくまで一個一個の原価を正確に発生費用で
計算しようという考え方なのです。

ということで、正解は
会計的にスループットを定義してみると、既存の限界利益と、非常に似
ています。しかし、I(Inventory)は工程を進捗度に応じた価値を付加
するという擬着した原価ではなく、あくまで購入費用のみで計算されま
す。

と定義することがよろしいでしょう。


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