
日付:2004/09/14
製造業は原材料を「製品」というモノに変換し販売する事によってお
金を儲けています。従って製造業にとって「製品をいくつ生産し、販
売したか」という生産・販売数量が利益を大きく左右します。生産能
力を上回る需要がある場合には、1日24時間という制約の中でどれ
だけ収益性の良い製品を生産し販売できるかが勝負になります。
生産数量最大化のためのキーは当然「ボトルネック工程」の単位製品
あたりの製造時間ということになります。
そうです、ネック工程を素早く通過できる製品が良いという事です。
この「時間当たり利益」の情報を上手に使うことにより、企業は顧客
満足を高めながら、大幅な増益を実現することができます。
分析の第一歩は、どれだけシステム内に儲けそこない(ロストプロフ
ィット)があるか調べる事です。
ロストプロフィットとは機会損失によってとり逃がした利益のことで
す。
たとえば、歩留り悪化、機械の故障による前工程仕掛品滞留、設備能
力不足で本来生産できるはずの数量が達成できないなど様々なケース
が考えられます。
このロストプロフィットを測定することで、はじめて会社は自社が作
り出せる最大可能な利益を知ることができるのです。ロストプロフィ
ットの構成要素を細かく分析していけば、利益の取り込みに向けた各
種アクションプランを作成することができるようになるのです。
ロストプロフィットを把握するには、当然の事ながら、まず制約条件
となる工程を探すことから始めます。制約条件工程における稼働率の
向上やリードタイムの短縮により、生産性の改善を図れば、それ以外
の工程での変化よりも、収益性にはるかに大きな影響を与えることに
なるからです。
すなわち、この工程でのロスは、それがなければ企業として本来利益
を生み出せていたはずの生産的な時間を失っている事になるからです。
そこで、ボトルネックにおける生産性向上は利益を生み出す速度を加
速させ、ロストプロフィットを取り込むことになります。
この考え方は、ネック工程が工場全体の利益を決めているという、T
OCの考え方に則っているのです。
そのためには、「どれだけのスループットの流出があるか」もしくは
「どれだけの機会損失があるか」を想定します。
その場合注意が必要なのが、自社の置かれた状況が「手不足」か「手
余り」かを見極める必要があるということです。
市場の需要とスループットとの関係をみるためには、手不足状態か手
余り状態かの判断が必要です。
「手不足状態」;製品に対して需要が供給を上回っている状態
「手余り状態」;需要が十分ではなく能力が余っている状態
おかれた状態の違いによってスループットを増加させる手段が変わり、
これによって得られる効果にも当然変化が生じます。
一例を挙げれば、技術的に社内で可能な作業を外注加工にまわしてい
るような場合です。
基本的に外注費用は在庫(資材費)として考えます。従って技術的に
可能ならば社内に取り込んだほうがスループットの流出が防げる事は
言うまでもないことです。
しかし現在、制約条件が社内にあるか市場あるかによって考え方は異
なります。
現状制約条件が社内にあって生産しただけ販売可能な場合には、制約
条件工程の能力を向上させるために外注したほうが良いという判断に
なります。
逆に市場制約の場合には、外注分を社内に取り込んでスループットの
流出を防ぐ事が必要なのです。
また改善によって得られた成果をどう考えるかもこの考え方を応用し
ます。
つまり、売上増大によるスループットアップか在庫(外注費)削減に
よるスループット流出防止かは、現在の制約条件の存在場所によって
大きく変わり、改善成果をどうするープットに結び付けるかはTとI
のトレードオフで考えるということが必要なのです。
もう一つの例を考えてみましょう。改善によって0.9人分の工数低
減がはかられた場合にはどうでしょう。
通常は「単位時間の標準人件費×年間労働時間」などで評価するとい
った方法が取られますが、工数が低減されたからといって0.9人削
減という事は現実には出来ませんのでの人員が削減される訳ではあり
ません。
ですから実際のT・I・OEそれぞれの金額には変化がないのです。
ということは実際に企業にもたらされるスループットも変化がなく効
果がない事が分かるのです。
このように、逸失利益の把握にあたっては、それによってスループッ
トがどう増減するかを実際の制約条件の状況を勘案しながら考えるこ
とが重要なのです。
そのためには、何かが変わった場合にT/I/OEがどう変化するか
を把握することが必要なのです。
そのポイントが変化した場合、「どれだけのスループットの流出があ
るか」もしくは「どれだけの機会損失があるか」を想定するのです。
儲けそこないの「概念」はお分かり頂けたと思いますので、次回は具
体的な「逸失利益の求め方」について説明します。
☆「TOC改革の糸口の見つけ方、逸失利益をもとに改革の切り口を設定する(1)
[2004/09/14]
3)スループット管理会計
[2004/09/14]
2)逸失利益の求め方
[2004/09/14]
(1)−逸失利益とは−
[2004/09/14]
はじめに