思考プロセス(ビジネスマンのための思考プロセス実践入門)

ビジネスマンのための思考プロセス実践入門(8)

日付:2004/09/14

石田忠由(いしだ ただよし)
ゴールシステムコンサルティング(株)常務取締役
『ビジネスマンのための思考プロセス実践入門(その8)』
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メルマガをご覧の皆さんこんにちは。
ゴール・システム・コンサルティング(株)の石田です。TOC思考プ
ロセスについて『ビジネスマンのための思考プロセス実践入門』と題し
て、連載させていただいています。

第8回です。前回は「納得する」という言葉の意味として“分かった”
ということと“腑に落ちる”つまり納得した状態が違うよという事まで
お話ししました。

今回は納得するとはいかなることかについて科学的な考察を加えてみた
いと思います。
まず、いくら説明を聞いてもわからない、つまり納得がいかない状況と
はどんな場合があるでしょうか。次の2つの場合が考えられます。

1.対象となっている分野の知識をまったく持っていない場合
この場合は、対象分野の知識を徐々に与えていくという気の長いステッ
プを踏んでいく必要があります。

2.対象分野の知識をかなり持っているが分からないという場合
この場合には次の2つが主に考えられますが、これらは日本語の特徴で
はないかと思います。以下さらに細分化して考えてみましょう。

(1)話の中に出てくる用語の意味及び概念が分からない場合
つまり言葉の定義が明確でなく、各人各様に解釈をしてしまい話がかみ
合わなくなってしまい分からなくなるというものです。日本語というの
は英語と違って単一民族の言語です。それだけに物事をきちんと定義し
なくてもお互いに理解できるという認識があろうかと思います。俗に言
われる「あ・うんの呼吸」ですね。ですから会話の中でも抽象的な言葉を
使いやすくなります。例えば、「共有化」「生産性」「標準的」など結構我々
は抽象的な言葉を使っていますが、この言葉について各人が同じように
具体的に理解しているとは限りません。大体において各人各様に解釈し
ています。こうした認識違いがコミュニケーションギャップをうみ、な
んとなくの理解で進み、ついには霧の中に突入するという事態になって
しまいます。この場合言葉を定義することが必要ですが、定義する時に
は分かりやすい言葉を使ってその概念を定めることが必要ですし、反対
にあいまいであれば質問をするということが重要です。“皆が同じ認識
ではないのが当たり前である”と考えて、こうした質問がどんどん出る
ようにすることが必要です。特に私たちが職場の中でよく使う言葉は使
い慣れているがために、理解したつもりでいますので注意が必要です。
少しでも疑問があれば、質問をして共通の理解にしておくことが重要で
す。

(2)用語の意味は分かるが、その言葉で説明されている対象世界が明確
にイメージできない場合
これは特に文章の中に、感覚的な言葉が入ってきている場合に起こりや
すい状況です。中経出版の思考プロセスの本の中で、「人が発している
言葉には、事実、意見、感情の3つがある」と書きましたが、事実以外
は他者と同じ認識に立つのは難しいです。特に日本語は、事実そのもの
よりもその事実に対する印象や、具体論よりも一般論・抽象論で物事を
把握し表現する傾向がありますので注意が必要です。例えばUDEの表現
では、必ずといってよいほど形容詞や副詞がでてきます。この形容詞・
副詞が曲者です。形容詞の例としては、「大きい、小さい、長い、短い、
多い、少ない・・・」などがあります。このような言葉は感覚的なもので
すから、ある人はそのように思ったり、又ある人はそのように思わなか
ったりすることもあります。又おなじ認識でも程度の把握の仕方が違っ
ていたりする場合もあります。副詞の例としては、「すぐ、少し、かな
り、もっと・・・」などがありますが、その弊害は形容詞と同じです。

この場合には、やはりその背景にある具体的な事実に焦点を合わせる必
要があります。ところがその具体的な事実が出てこない時がよくありま
す。ある事実に関して、多い、少ないなどの印象を持ったはずですから、
その基となった事実を表現すればいいわけですが、これがなかなか表現
できません。恐らく事実に対しての総論的な自分の感覚・印象が強く記
憶に残っているために、具体的な事実そのものが把握されていないため
でしょう。表現力の問題もあるかもしれませんが・・・。とに角具体的
な事実を把握する姿勢が重要です。特に現状問題構造ツリーでは、事実
・実態がベースとなるだけに注意が必要です。
 
以上、言葉及び文章に関しての注意事項を述べてきましたが、これはTOC
思考プロセスの論理性の検証の最初のルール「明瞭性の原則;言葉、文章
の意味が分かるか」です。これは論理学でよく言われる「前提が正しけれ
ば結論は正しい」「前提が間違っていると結論は間違っている」という根本
原理があるそうですが、この言葉・文章の明瞭性は、ちょうど前提と同
じではないでしょうか。単純なことのように見えますが、注意を払う必
要があります。

次回では、もう1つの納得性のポイントである現状問題構造ツリー作成
時の因果関係での陥りやすい誤りについて考察を進めていきます。

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