思考プロセス(ビジネスマンのための思考プロセス実践入門)

ビジネスマンのための思考プロセス実践入門(4)

日付:2004/09/13

石田忠由(いしだ ただよし)
ゴールシステムコンサルティング(株)常務取締役

メルマガをご覧の皆さんこんにちは。
ゴール・システム・コンサルティング(株)の石田です。TOC思考
プロセスについて『ビジネスマンのための思考プロセス実践入門』
と題して、連載させていただいています。

今回は第4回です。前回のおさらいですが、
公式組織は人間の集団を意図的に体系化していますが、非公式組織は、
人間の集団を非意図的に捉えたものです。
まあ簡単に言えば、人が集団になると自然発生的に生じるものだとい
う風にとらえていただければ結構ですです。

前回までに公式組織及び非公式組織についてみてきましたが、組織は
人の集まりである限りにおいては、必ずそうした2つの面を持つこと
を認識することが重要です。特に非公式組織は、人間関係中心で且つ
個人の満足中心で組織化されますから、その結びつきには強固なもの
があります。この考え方は、組織に限らず我々個人の世界についても
言えることでしょう。

つまり公式組織を論理的な面、非公式組織を非論理的な面と捉えれば、
個人の持つ論理の面と非論理の面(感情的な面)に対応するでしょう。
いわゆる理の世界と情の世界ですね。 

ですから組織を変化させるときには、組織のあるべき姿(将来の明文
化された公式組織)を明確に描き、それに向けて組織構成員の意識や
行動のベクトルを合わせることが重要です。このベクトルを合わせる
ときの鍵となるのが非公式組織、つまりインフォーマル組織です。特
にインフォーマル組織の長には注意が必要です。よく言われる“陰の
実力者”といわれる存在です。

インフォーマル組織は、この長を中心に人間関係で結びついているか
らです。ですから多少論理の曖昧さが合っても、インフォーマル組織
の長が認めたことにはその構成員は従いやすいという特徴があります。

基本的には組織は指揮・命令系統や権限が明確に規定された公式組織
という形ですが、その組織の運営に必要な意思決定が公式組織に則っ
て行われるとは限りません。

例え話としては相応しくないかも知れませんが、私は昔社内研修の講
師をしていました。時には、研修の営業に行くこともしばしばありま
した。研修の担当部署は、大抵は人事部門や総務部門が担当しており、
その部署の部長や課長などの責任者の人と会ってプレゼンします。こ
れが通常のパターンですが、一度組合の書記長の前でプレゼンしたこ
とがあります。といっても組合向けの研修ではありません。その会社
の教育体系にある階層別研修です。こちらも状況がつかめないままに
プレゼンをし、その後で人事の担当者の方といろいろ話をしました。

といっても研修の中身はそれほどせず、全般的ないわば雑談的な話で
した。こちらとしては研修の中身の話をしたかったものですから、そ
れとなく中身のことに触れていくと、「彼が決めますから、そしたら
具体的な内容を詰めます」と先方の一言で終わりです。後で状況がわ
かったのですが、人事関係に関しては彼が影の実力者で、まずは彼の
承認がいるとのことでした。お陰さまでこの研修は実施しましたが、
研修参加者の中で彼のグループ(地縁的なつながり;彼は地元でも名
士であった!!)の人の意欲的な姿勢が今でも思い起こされます。
さて話を元に戻します。ゴールドラット博士は、組織(組織の構成員
を次の3つに分類しているようです。

 1.外部の人々
    変化に関して影響を及ぼされない立場・役割の人々です。
 2.親密に係わる人々
    変化することが、自分が現在やっている仕事の方法に重要
    な影響を及ぼされる可能性のある人々です。
    これらの人々は、自分たちの仕事に対する考え方を変えな
    ければならないし、新しい任務(タスク)が現在行ってい
    ることに対してマイナス及びプラスの影響が及ぼされます。
    特にマイナスの影響の場合は、抵抗勢力になるでしょう。
 3.直接責任がある人々
    変化が起こることに関して組織的な機能の面での責任を持
    っている人々です。
    通常は、部門の長、マネージャー、又は経営者等です。彼
    らは上記2の「親密に係わる人々」の長である場合が多い
    ようです。

 変化を起こすためには、まずは「直接責任がある人々」及び「親密
に係わる人々」に焦点を当てることが必要です。関係すると思われる
人々が、上記の3分類のどこに属するのかを、まず見極めることが必
要でしょう。
そして次には、その中で誰が抵抗しそうなのかを見極めていく必要が
あろうかと思います。
そのためには、次のような問いを投げかけながら、整理していくと良
いでしょう。
《変化することに対して》
 1.誰が損をするのか?
 2.誰が徳をするのか?
3.誰の地位・身分が変わるのか?
4.誰の権限・権威が再定義されるのか?
5.誰の安全(機密保護、防衛など)が脅かされるのか?
6.誰の満足感が譲歩・妥協しなければならないか?
 以上のような質問で、組織の人的な面での勢力図を描いていきます。
このプロセスは本質的には、抵抗勢力を明確にしていくことに他なりま
せん。
そしてこの時、注意を要するのがインフォーマル組織です。インフォー
マル組織は、人間的な感情を媒体として関係しあっていますから、その
感情の満足度合いに悪影響を及ぼそうとするものには激しく抵抗してき
ます。

次回はそうした抵抗について考えてみたいと思います。

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