DBR(生産部門復活の鍵を握るDBRの実践)

継続的改善の5ステップ

日付:2004/09/13

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☆連載 GSCチーフコンサルタント 飯塚 昇☆
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践
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飯塚 昇(いいづか のぼる)
ゴールシステムコンサルティング(株)チーフ・コンサルタント

メルマガをご覧の皆さんこんにちは。
ゴール・システム・コンサルティング(株)の飯塚です。
前回は「保護能力とバッファー」について書きました。
今回は『生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(その7)』生産ライン
でDBRを構築する手順として「継続的改善の5ステップ」について書
いてみます。
 改善の5ステップは小説「ザ・ゴール」のP474に、またメルマガで
も創刊号(vol1)で取り上げていますが、確認の意味で再度おさらいし
ましょう。
<継続的改善の5ステップ>
1.制約条件を見つける。
2.制約条件を徹底的に活用する。
3.制約条件以外を制約条件に従属させる。
4.制約条件の能力を向上させる。
5.惰性に注意しながら1.に戻る。
そして、DBRの構築には1〜3のステップを注意深く行わなければなり
ません。
DBR構築の第一歩は、「1.ネック工程を見つける。」からです。
例によって小説「ザ・ゴール」の抜粋です。
アレックス・ロゴが特急のオーダーを処理する中で、従属性と変動性を工
場内で実証して見せ、そこから学んだことです。
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「はっきりしていることは、これまでの生産能力に対する私たちの考え方
は変えないといけないということだ。リソースの能力を一つずつ切り離し
て別々に測っても意味がない。
それぞれのリソースの真の生産能力とは、工場の中でそれがどの位置に置
かれているかによるのだ。経費を削減しようと、これまでは需要に合わせ
て生産能力を抑えてきたが、それは大きな間違えだ。絶対にそんなことは
してはいけない」‥‥
 エンジニアやマネジャーたちが努力して(間違ったやり方なのだが)バ
ランスのとれた工場に近づけば近づくほど、危険が発生しやすい状態にな
り、その結果、人を動かしたり、残業させたり、人を雇い入れたりして、
工場は急速にバランスを失う。‥‥
「ムダをなくそうと、一つひとつの工程の能力を別々に観察して削っては
いけません。システム全体を最適化するように努力しないといけないんで
す。他のリソースより余分な能力を持っているリソースがあって然るべき
なのです。システムの最終工程のリソースには、一番はじめのリソースよ
り大きな能力が必要とされます。時としてかなり多くの能力が必要とされ
る場合もあります。違いますか」
「そのとおりだ」ジョナが答えた。
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 そしてジョナ先生から、アレックス・ロゴが指示をもらう場面です。また、
少し抜粋を入れます。
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「アレックス。それがわかったら、今度は工場の中のリソースを二つに分け
ないといけない。ボトルネックと非ボトルネックだ」‥‥
「ボトルネックとは、その処理能力が、与えられている仕事量と同じか、そ
れ以下のリソースのことだ。非ボトルネックは、逆に与えられている仕事量
よりも処理能力が大きいリソースのことだ。わかるかね」
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 「ネック工程を見つけるためには、皆さんはどうされていますか?
ネック工程を見つける、この事は「日常行っている」「簡単なことだ」など
とよく言われます。
しかし、我々コンサルタントが実際にそのような会社へ出かけDBRを構築
しようと活動を開始すると、いろいろな見方や意見が出てきてなかなか進ま
ないことが多いようです。今までにあったいくつかの例を挙げてみます。

1.「ネック工程は日々変る」とか「ネックは無い」ので、どうしたら良
いのか?

このような質問をしてくる会社は、十中八九が「生産ロットが非常に大きい」
か「日々の負荷能力を見て答えている」か「人を生産の状況により移動させ
る」「生産ロットを受注量そのままで流している」
であるなどの影響による可能性が高いようです。
 このような会社では、日々ネック工程が移り変わり勤務が不安定となってい
ます。そのため仕事が忙しい時は残業を行い、逆に暇なときは生産性の低下を
恐れて、今すぐにはいらない製品を見込みで生産する。といった行為を当たり
前のように行っている場合が多いのです。
そうなると「在庫は増え」「LTは長期化」し、収益を圧迫していることがよ
くあります。

2.「ネックは素材供給(投入工程)だ」だから手が出せない?

こんなケースも多いようです。しかし、このような会社でも投入工程以外のラ
インでも残業を行っていますし、仕掛在庫は工場のあちこちに山のように詰ま
れているケースがあります。このような会社では、素材倉庫に受注の決まって
いない素材が山のように置かれ、資材調達部門での大量発注による原価低減効
果が大きな声で叫ばれている。しかし、低減したはずのコストはスループット
につながらず、利益が上がっていない。
 
その他、「ネックは外注だ」「ネックは沢山ある」「全ての工程がネックだ」
などなど、書き出したらきりがありませんが、いずれにしろ我々はDBRを構
築するためにネック工程を決め、次のステップに進まなければなりません。

そのために必要な第一歩は、(基本中の基本ですが)月や期の単位で生産能力
(設備・人)と必要能力(受注量)を時間レベルで算出し、どの工程が一番能
力が足らないのかを知ることなのです。
要するにジョナ先生がアレックスに言ったように工場の資源を「ボトルネック」
と「非ボトルネック」に区分することが必要なのです。

しかし、ST(標準時間)や工程パターンが明確でない場合などは、工場を巡回
してみて仕掛が一番溜まっている工程や今までの経験と勘を頼って「仮のネック
工程」と位置づけて、次のステップへ進むのも良いと思います。

我々がよく出くわすのは「ネック工程を正確に掴もうとするとSTを調べるのに
1年はかかる」などという実態です。こうなるとDBRは夢のまた夢となりなか
なか先に進まなかったり、途中で挫折してしまうことすらあります。
DBRの良さは、とにかく早められるということです。もし仮に決めた工程が真
のネックでなければその工程には仕掛在庫が溜まりません。その時はまたネック
を捜し直し、再スタートすれば良いことです。
 議論や調査ばかりをして前に進まないこと事態が、スループットを落としてい
ることになるということを十分理解して進めるべきだと思います。

次回は、改善の5ステップの「2.ネック工程を徹底的に活用する」を書いて行
きます。

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