DBR(生産部門復活の鍵を握るDBRの実践)

生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(20-2)

日付:2004/09/13

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連載
☆生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(20-2)
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飯塚 昇(いいづか のぼる)
ゴールシステムコンサルティング(株)チーフ・コンサルタント

メルマガをご覧の皆さんこんにちは。
ゴール・システム・コンサルティング(株)の飯塚です。
今回は工場内にネック工程が存在しない場合のDBR(S−DBR)
について書いていきます。

まずS−DBRとはどのようなものか?という前に、工場内にネック
工程が存在しない工場で、なぜS−DBRという仕組みが必要なのか?
について考えてみたいと思います。
工場の能力が、顧客の要求する製品を作るのに十分な能力を持っている
のであれば、顧客の要求するものは全て作れるはずなのですが、実際は
このような工場でも納期遅れや、生産未達などの問題に悩まされてい
る工場は少なくありません。なぜでしょうか?
最近よく聞く話に「DBRの仕組みを作ろうとしてネック工程を探した
のですが、計算上の負荷積みではネックとなる工程がどこにも存在しな
いことが分かり、当社にはTOCの考え方は適さない。DBRの仕組み
は適用しても意味が無い。」という話を耳にすることがあります。
そこで担当者に「では、お客様の要求する製品を、お客様の要求する
納期通りに納められているのですね?」と聞いてみると、「いやー、そ
れがお客様の要求がちょくちょく変わるので、100%守れているわ
けじゃないんだ」とか「品質不良が出たり、設備故障が発生したりし
て100%は守れていないんだ」などの回答が返ってきます。
では、どこが制約工程なのでしょうか?
お客様の要求する製品を作るのに必要な設備能力は、十分持っている
しかし、お客様の要求を満足できない。おかしいですね?
実はこのような事はよくあるのです。
原因はいろいろあるのですが、慢性的にこのような状況を起きている
会社では、以下の原因が考えられます。
1.生産ロットが大きすぎる場合。
以前この連載で書きましたが、生産ロットが大きいということは次
のロットに着手する時間が長い(同じものを作っている時間が長い)
ということです。そのため、後工程では待ち時間が多くなり稼働時間
が減ってしまい結局能力不足の状態となってしまうのです。しかし、
本来は物を待っている時間が長いためであり、物流シミュレーション
等を行わなければ見つけることが難しく、机上での負荷能力計算だけ
ではほとんど発見することが出来ません。そのため、初工程から最終
工程までの製品を生産するスピード(製造リードタイム)が落ちて、
納期に間に合わないというものです。
このような工場の特徴としては、「ネック工程が日々移り変わる」「ネ
ック工程が移動する」という言葉を耳にします。
2.顧客の要求の振れが大きい場合。(納期・数量の変更)
これは説明しなくても皆さんお解かりと思いますが、結局お客様の要
求する納期が工場の生産リードタイムより短い場合や、お客様の要求
が入ってから生産を開始するのでは遅い場合などがあります。
このような場合では、工場では事前に在庫を持ったり(安全在庫)、
見込みで生産をしたりして対応していることが多いようです。
しかし、この受注の読み(受注予測)が当たるか外れるかにより未納
が発生したりするものです。
このような工場の特徴は、「在庫・仕掛りが山のようにあるにもかかわ
らず、とにかく初工程を遊ばせてはならない」という意識が非常に高い
ようです。
3.品質が安定していない製品を作っている場合。
よく、うちの製品は難しくて「作ってみなければ良いものが出来るか
どうか判らないんですよ」とか「品質は水ものなんですよ」という
お話をされる工場がありますが、このような工場では、とにかく物を
作れ!との指示が出ています。そのため、納期より生産量が重視され
生産性の高い作り方をすることから、ロットが大きくなることが多い
ようです。
そのほか、オーダーメードの受注生産の場合や設備故障(チョコ停)が
多発している工場の場合、平準化生産を意識しすぎていらないものま
で作ってしまっている場合などがあります。

このような工場で適用されるS−DBRとはどのようなものなのでし
ょうか?S−DBRを簡単に言うと、DBRの出荷バッファを利用し
た仕組と言えます。S−DBRでは工程内にネック工程と呼ばれる能
力の少ない工程は存在しないため、CCRバッファが不要となります。
しかし、前述したような生産の振れや顧客要求の振れは必ず起こりま
す。そのため各工程では生産の見積り時間に余裕を持たせて計画を組
んでいます。S−DBRでは、この各工程の余裕を出荷バッファ一箇
所に集め、どの工程で問題が出ても対応できるようにすると共に、お
のおのの工程で持っていたのでは、その工程分だけしか対応できない
バッファ量を最終工程に集めることで、予想以上のマーフィーが現れ
ても対応できるのです。
要するに、顧客納期に出荷バッファを加え初工程の投入順序を決定す
るというものなのです。ここで注意すべきは、出荷バッファというと
在庫が増えるという考え方が先行しますが、あくまでも納期より少し
早めに完成させるということなのです。

ここまで長い間DBRについて書いてきましたが、次回でここまでの
まとめを行いDBRについての連載を終了したいと思います。

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