DBR(生産部門復活の鍵を握るDBRの実践)

(9)3.制約条件以外を制約条件に従属させる

日付:2004/09/13

 ====================◆ CONTENTS ◆======================
連載
☆生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(9)
=============================================================
飯塚 昇(いいづか のぼる)
ゴールシステムコンサルティング(株)チーフ・コンサルタント

メルマガをご覧の皆さんこんにちは。
ゴール・システム・コンサルティング(株)の飯塚です。
前回は突然お休みさせていただき、申し訳ありませんでした。
また、頑張って書いていきますのでよろしくお願いいたします。
前回までは改善の5ステップ「2.制約条件以外を制約条件に従属させる」について書きまし
た。
<改善の5ステップ>
1.制約条件を見つける。
2.制約条件を徹底的に活用する。
3.制約条件以外を制約条件に従属させる。
4.制約条件の能力を向上させる。
5.惰性に注意しながら1.に戻る。
今回は『生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(その9)』改善の5ステップの「3.制約条件
以外を制約条件に従属させる」について書いていきます。

このステップは小説「ザ・ゴール」のハイキングでは、制約条件のハービー君を先頭にすること
で簡単に解決されました。しかし同じことを工場で行うこと(制約工程を先頭工程にする)は殆
んど不可能です。
それではどうしたらよいのでしょう。まず「スループットを落とさないためには、ネック工程を
止めてはいけない」ということを常に頭に置き、そのための方法を考えればよいのです。

また小説「ザ・ゴール」P272の抜粋をお読みください。
アレックスが実際に工場でネック工程を徹底活用するため、顧客納期順に生
産順序を決め、ネック工程の生産を行うように指示しました。しかし現場を
見てみると、ネック工程(リソース)であるNCX−10が材切れで停止して
います。
==================================
「冷静に順序立てて原因を考えてみようじゃないか‥‥。原因はいったい何
なのか」
「NCX−10に必要な部品が届いていなかったので作業に取り掛かれなか
った。それが原因です」ボブがさらりと答えた。
「原因は、この『非ボトルネック機械』のところで、『ボトルネック部品』が
足止めをくっていたからだ。どうして、こうなったのか考えてみよう」
「この非ボトルネック機械の担当者は、どの部品でもいい、ただ作ることし
か考えていなかった。それだけだと思います」
「そうだ。もし暇にしていたら、君みたいな奴がやって来て、うるさく言わ
れるからだ」
「そうです。もし私が何も言わなければ、今度は私が所長にうるさく言われ
ます」
「そのとおり。しかし忙しく作業はしていたものの、目標達成に向かって貢
献していたとは言い難い」
「そうですか?」
「ああ、そうだ。貢献していない。ボブ、見るんだ」私は声を張り上げ、足
止めを食らっている部品の山を指した。「今日この部品が必要なんだ。明日
じゃ駄目だ。非ボトルネック部品の中には、この先数週間、数ヶ月、いやも
しかするとずっと必要のないものもあるかもしれない。もしそんなものを作
り続けていたら、オーダーを出荷してお金を儲けることの邪魔をしているこ
とになる」‥‥
==================================
 実際にこのようなことは多くの工場で起きています。しかし、このような
問題については小説でも書かれているように、さまざまな部署、工場のしき
たりや文化によってもたらされる評価制度によって
1)問題とされていないか、
2)問題と思っていても変えることによる弊害(評価が下がる)
その多くは解決されないまま残されています。

制約工程に従属させる場合の具体的なやり方の代表例を確認しましょう。
1)投入工程の一日の投入量を、制約工程の一日の処理量に合わせる。
2)制約工程前のバッファ量の増減に合わせ、投入量を増減させる。
3)非制約工程は納期から逆算したネック工程の作業順序を、投入工程まで
さかのぼり順番付けした番号の若いものから作業を行う。
等です。

実際には、工場により作業ルールや工場方針などに生産ラインは制約を受けて
います。
しかし以前に書いたように制約工程の倍の生産能力を持っている工程で、能力
を半分しか使う必要がない(止める)ことを実践する事が一番難しいところだ
と思います。
 多くの企業の場合、このステップ3をやりきることができず、DBRの仕組
みが壊れていきます。
これは「本来、人間は評価によって行動する」ためであり、正しい評価ができ
る仕組みづくりが必要不可欠であるにもかかわらず、個別最適の評価基準しか
ほとんどの工場では持っていないため、いらないものを作らなければ評価され
ないからなのです。(工程別の稼働率・生産性・効率・‥)
 ここまでの取り組みによって、工場内では短リードタイムで高い生産性を実
現するDBRの仕組みが出来上がるのです。

次回は、この3つのステップをさらに具体化する仕掛け方や改善策について考
えてみたいと思います。

バックナンバー

TOCはどうなるのかin2005
[2005/04/20]
なかなか導入ができない? DBRはどうなるのかin2005

TOCーDBRで顧客満足が高まり会社が儲かる
[2004/10/21]
TOCーDBRで顧客満足が高まり会社が儲かる

生産部門復活の鍵を握るDBRの実践
[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(21)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(20-2)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(20-1)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(19)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(18-2)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(18-1)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(17)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(16-2)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(16-1)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(14-2)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(14-1)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(13-2)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(13-1)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(12)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(11)

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践(10)

[2004/09/13]
(9)3.制約条件以外を制約条件に従属させる

[2004/09/13]
2.制約条件を徹底的に活用する

[2004/09/13]
継続的改善の5ステップ

[2004/09/13]
(6)保護能力とバッファー

[2004/09/13]
(5)遅れの伝播

[2004/09/13]
(4)従属性と変動性

[2004/09/13]
(3)DBRのスケジューリング

[2004/09/13]
(2)DBRの基本

[2004/09/13]
(1)問題意識

[2004/09/13]
生産部門復活の鍵を握るDBRの実践