クリティカルチェーン(CCプロジェクト管理講座)

30.「最終号」TOC/CCPMから組織の変革へ

日付:2005/10/26

========================
CCプロジェクト管理講座(30)
「最終号」TOC/CCPMから組織の変革へ
========================

こんにちは西原です。CCプロジェクト管理講座も30回
をはじめましょう。

30回、約8ヶ月にわたってのクリティカルチェーンに
ついての連載も最終号になりました。まだまだ複数のプ
ロジェクトをどう管理するのかという重大テーマについ
て深く掘り下げて記載できていませんが、あまりこの枠
を私が占領し続けると怒られてしまう(^_^)のでこのあた
りで一旦終了させて頂きます。

さて、ここまでの連載内容をTOCの思考方法で振り返って
みましょう。

「なぜ、変えなければならないのか?」
連載の当初私のプロジェクト経験談を記載しました。
「締切恐怖症」「早く家に帰りたい」「こまねずみは駄目
」「なるべく早くが地獄への道」などなどプロジェクトの
現場での苦労を記載しました。大量生産型の時代からプロ
ジェクト型の時代へ変革していく中でプロジェクトの現場
がこんなマネジメントなしの状況では競争に打ち勝つこと
は出来ません。プロジェクト・マネジメントを変えていか
なければならないでしょう・

「何を、変えなければならないのか?」
プロジェクトはマネジメントを実施するにも不確実性が高
く困難さを伴います。具体的には「タイムマシーンはない
ので未来は計画できない」「安全余裕を付けて正確な計画
を立てられるようにする」「学生症候群・早期完了の未報
告・マルチタスキングなど安全余裕を食べてしまう人間行
動」「直観と経験による進捗管理」
プロジェクトを取り囲む良くないことは満載でした。

「何に、変えなければならないのか?」
クリティカルチェーンでは、QueueTIMEを生み出してしまう
各作業への安全余裕の追加これをプロジェクト全体を守るた
めの安全余裕の追加へ方針変更を促します。そしてバッファ
とよぶ安全余裕を個人ではなく組織で管理して全体最適を目
指します。

プロジェクトをタスク毎へ分解すれば正しく管理できるはず
だ。
から
プロジェクトを全体で管理する。組織で管理する。

パラダイムの変更です。

「どのように、変えるのか?」
単独プロジェクトのクリティカルチェーン導入は以下の5つ
のステップを踏みます。
1.制約条件を見つける
 ゴールを明確にし、ネットワーク工程表を作成し、制約
条件(クリティカルチェーン)を見つける

2,制約条件を徹底活用する
 制約条件(クリティカルチェーン)を徹底活用するため
QueueTIMEを生み出してしまわないよう50%確率で作業時
間見積もりを実施し、プロジェクトバッファを設置します。

3,非制約条件を制約条件に従わせる
 非制約条件(非クリティカルチェーン)を制約条件(ク
リティカルチェーン)に従属させるため合流バッファを設
置します。

4,制約条件を強化する
 もしここまでの工程計画で納期遅れが発見されたら、資
源の追加などを検討し、制約条件(クリティカルチェーン
)を強化します。

5,惰性に気を付けながら1へ戻る
 計画されたプロジェクトをバッファの浸食状況を見なが
ら進捗管理していきます。バッファの浸食状況に合わせて
対策を取る方法を組織でルール化し、プロジェクトの親方
主義から組織対応へ変革して進めます。


ざっと全体を振り返ると以上になります。
クリティカルチェーンは、単独プロジェクトへ導入し、複
数のプロジェクト管理へ進むというのが一般的な進め方で
すが、実施していくと組織全体の大きな問題が浮き彫りに
なってきます。

「プロジェクトをマネジメントする人はいるが、組織全体
をマネジメントしている人がいない。」という重大な問題
です。

もちろん予算などで各プロジェクトマネージャーを管理し
ていますが、予算制度の縛りの中で、バッファがレッドゾ
ーンにはいったときプロマネは何ができるでしょうか。こ
のときプロマネの上にたつ上級管理者が意思決定をしなけ
ればなりませんが、その仕組みをもっている企業はほとん
どありません。

もちろん上級管理者は何もしていないわけではありません
。予算制度、人事制度を使って間接的に全体をコントロー
ルしようとします。

価格(予算)による評価を軸に競争をおこせば、自然と全
体は良くなるだろうという考えの基に、マネジメントしな
くても自然に「神の見えざる手」がはたらいてたぶんうま
くいくだろう。これが現状のマネジメントの姿です。


>>こうした状況の根本的な原因は、西欧文化、つまり「
競争主義」にあります。すべての領域すべての階層におい
て競争主義がはたらいているのです。競争主義こそが経済
活動の原動力であるとして崇められているのです。競争主
義こそが、個人、組織の成長及び発展の礎とみなされてお
り、進歩、改善にとっては不可欠と考えられているのです。
しかし現実はどうでしょうか。(中略)
競争原理に基づく今日のマネジメント手法がもたらすマイ
ナスの効果は、残念ながら組織、いずれの環境においても
明白です。
ですから、そのためのソリューションを見つけなければな
りません。
<<
「二大博士から経営を学ぶ〜デミングの知恵・ゴールドラ
ットの理論」Dレポール&Oコーエン著 P22

TOC/クリティカルチェーンは、この一つのソリューシ
ョンになります。

一つのプロジェクトをどうスケジューリングすればよいか
という問題から真のマネジメントとはどうあるべきかを問
いかけます。
是非この方法を使いあなたの組織のマネジメント方法を確
立するきっかけにして下さい。

30回にわたる連載お読み頂きありがとうございました。
みなさまの感想や体験談を是非お聞かせ下さい。
TOC/クリティカルチェーンはまだまだ体系だってから
新しい理論です、皆さんと一緒に完成させられればと思い
ますので是非よろしくお願いします。

2005年10月23日(日) 
    学生症候群で連載を書く 西原隆 より
ご質問は info@goal-consulting.com

バックナンバー


CCプロジェクト管理講座

[2005/10/26]
30.「最終号」TOC/CCPMから組織の変革へ

[2005/10/19]
29.プロジェクト・マネジメント・オフィス

[2005/10/15]
28.複数のプロジェクトを如何にマネジメントするか

[2005/10/15]
27.リレー走者の原理とチームプレイ

[2005/10/15]
26.進捗管理の方法「ファシリテーション3

[2005/09/23]
25.進捗管理の方法「ファシリテーション2」

[2005/09/23]
24.進捗管理の方法「ファシリテーション」

[2005/09/08]
進捗管理の方法「バッファマネジメント」

[2005/09/08]
進捗管理の方法「どうやって遅れを管理するか?」

[2005/09/08]
クリティカルチェーン・スケジューリング(2)

[2005/08/08]
21,クリティカルチェーン・スケジューリング

[2005/08/08]
遅れること前提の時間見積もり(2)

[2005/07/25]
18.遅れること前提の時間見積もり

[2005/07/14]
17.リソースはどうやって定義する

[2005/07/06]
16.ODSCからネットワークを構築

[2005/07/06]
15.完成のイメージから逆算して計画を作る

[2005/06/26]
14. プロジェクト管理の中核問題

[2005/06/15]
13. プロジェクトマネージャーの方針制約

[2005/06/13]
12. プロジェクトのリードタイムのほとんどは待ち時間

[2005/06/05]
11.完璧な計画の作成方法

[2005/05/23]
10.計画するとは

[2005/05/23]
9.プロジェクトに関わる『人』の現実

[2005/05/11]
8早く始めれば早く終わる・・・・ことはない。

[2005/04/20]
7.なるべく早くが地獄への道・・・

[2005/04/20]
6,プロジェクトマネジメントの目的は何か?

[2005/04/20]
5,プロジェクトマネジメントソフトウェアー(PMソフト)

[2005/04/20]
4,クリティカルパスは早く家に帰る道??

[2005/04/20]
3,最小自由度の原則 (こまねずみはダメ???)

[2005/04/20]
2,従来型プロジェクトマネジメントの実践

[2005/04/20]
1.まずはプロジェクトとは何か考えてみよう「恐ろしい話・・」



TOCはどうなるのか
(in2005)


[2005/04/20]
導入が進むが失敗例も増える!?TOCクリティカルチェーンの2005年