
日付:2005/07/06
============================================================
CCプロジェクト管理講座(16)
ODSCからネットワークを構築
============================================================
こんにちは西原です。CCプロジェクト管理講座第16回を始め
ましょう。疑問点や質問ご意見あれば弊社メーリングリストや私
宛に質問下さい。
【完成イメージの共有】
プロジェクト計画を立てるとき、まずやるべき事は、ODSCと
よばれる項目の定義です。
恐らくCCPMのインプリメンテーションでこの考え方を採用し
ているのは我々だけだと思います。
今回は読者の皆さんにだけ特別にODSCの使い方をご紹介しま
す。
ODSCとはObjectives(目的)Deliverables(成果物)Success
Criteria (成功要件)この3つの略称。まずこの3つを定義し
完成のイメージを固めます。
一つ目のプロジェクトのObjectives(目的)は何でしょうか。
要求されている成果物を作ることが目的と考える方がいますがそ
れは違います。ザ・ゴールで問われるように企業のゴールは何か
を考えれば多くの場合目的はスループットをいくら獲得するかに
なるでしょうこれをまず確認します。
二つ目はDeliverables(成果物)。これは要求される具体的な成
果物を定義し、そして主な中間成果物を定義するという事になり
ます。
三つ目はSuccess Criteria (成功要件)の定義。
その成果物を作りスループットを獲得するためには、様々な成功
要件をみたさなければなりません。それを明確にしていきます。
ここで当該プロジェクトの評価にもつながる基準も設定されてい
きます。定義していくときには各要件がT,I,OE(スループ
ット、投資、業務費用)へどのような影響を与えるか考慮しなが
ら定義していきます。
このようにODSCを定義していき完成のイメージを明確にして
いきます。またこの段階でリスク、重要な資源、企業にある統一
されているプロジェクト評価基準も確認しておきます。
【ODSC定義のメリット】
このODSC定義を行う事で、プロジェクトマネージャーとプロ
ジェクトオーナーなど関係者の完成イメージの共有をおこなえば
、プロジェクト開始後の仕様変更を減らす事ができます。開始時
には仕様が確定できないといったプロジェクトであってもその事
をODSC作成フェーズで共通認識を構築しておけばその後の対
応がスムーズになり、プロジェクトマネージャー・メンバーの遭
遇する変更があいつぐ理不尽なプロジェクトを減らす事が可能に
なります。
企業ではプロジェクト評価のための統一基準が設けられています
が、現実のプロジェクトは多種多様であり統一基準での評価だけ
をおこなうと弊害が生じることがあります。
例えば次の受注を考えて赤字覚悟で受注しているプロジェクトを
統一基準で評価すると当該プロジェクトマネージャーのモチベー
ションは大きく下がってしまいます。
このODSC定義フェーズでは、プロジェクト関係者間の合意の
上で当該プロジェクトごとの評価基準を検討しますので、統一評
価基準による弊害を取り除くことも可能になります。
【ネットワークの構築】
ODSC定義の次のフェーズはネットワーク構築フェーズです。
クリティカルチェーン法でのネットワーク構築は、前提条件ツリ
ーの障害のボックスを除いた図IOマップという図を作って構築
していきます。
まず定義した完成のイメージ(ODSC)を見ながら、そのOD
SCを達成するために直近にやらなければならない作業は何か?こ
れを問うて作業を洗い出していきます。
ODSCの直前に出来ていないといけない作業、そしてその前に
出来ていけない作業と、完成の方からだんだんと現在日に近い方
向へ作業を洗い出し前後関係を矢印で結んでネットワークを構築
していきます。
【ロールバックのメリット】
現在からゴールへ向かう方向で経験的に作業を列挙していけば今
回のゴール達成に不必要な作業が入り込んでしまう危険性があり
ます。クリティカルチェーン法ではゴールから逆算してネットワ
ークを構築し作業を洗い出すので必要のない作業を計画の中にい
れてしまいリードタイムが長くなると言う事を防ぐことができま
す。
もう一つメリットは平行作業を増やすことが可能だという点です
。現在日から計画を作ると過去の経験からリソースを勝手にイメ
ージして直列的な計画をたててしまう事が多々あります。これを
ゴールから逆算する方法に変えると過去の経験から離れ、多くの
平行作業ができるネットワークを作ることができます。もちろん
平行作業が多ければ多いほどリードタイムは短縮できます。
【知恵の共有】
このネットワーク構築のフェーズをプロジェクトメンバーを集め
ワークショップ形式でおこなうと関わるメンバーの全体イメージ
の把握が可能になり、コミュニケーションが飛躍的に良くなりま
す。ワークショップでは、若手、ベテランのプロマネをワークシ
ョップに参加させポストイットを使ってネットワークを構築して
いきます。参加者の議論を通じ構築していくと、ベテランの暗黙
知を引き出し知恵を共有する事ができ、業務プロセスの中にナレ
ッジマネジメントをプロジェクト計画立案段階にビルトインでき
組織としての教育的効果を得ることが可能です。
このフェーズではワークショップを運営するファシリテーターの
能力が成功に大きな影響を与えます。このフェーズはTOC思考
プロセスの前提条件ツリーの考え方から作られていますので、作
成の時はTOC思考プロセスの解説を参考にしてください。
【このフェーズのまとめ】
簡単にですがプロジェクト計画を立てる一番初めのフェーズを解
説しました。完成のイメージをODSCで定義し、ゴールからロ
ールバックでタスクを列挙してネットワークを構築していきます。
皆様はいままでこのような方法で計画立案していたでしょうか?
私は初めてこのやり方を聞いたとき驚いたと共に実際に出来るのか
考え込んでしまいました。
このやり方自体はザ・ゴールでアレックスに企業の目的を問いか
けるシーンを思い出せば当然のやり方だと思えます。
このフェーズは一度実際にやってみると様々な事が理解できます。
なぜ今までのプロジェクトがうまくいっていなかったか実際にや
ってみると実感できる重要なフェーズです。
CCプロジェクト管理講座
[2005/10/26]
30.「最終号」TOC/CCPMから組織の変革へ
[2005/10/19]
29.プロジェクト・マネジメント・オフィス
[2005/10/15]
28.複数のプロジェクトを如何にマネジメントするか
[2005/10/15]
27.リレー走者の原理とチームプレイ
[2005/10/15]
26.進捗管理の方法「ファシリテーション3
[2005/09/23]
25.進捗管理の方法「ファシリテーション2」
[2005/09/23]
24.進捗管理の方法「ファシリテーション」
[2005/09/08]
進捗管理の方法「バッファマネジメント」
[2005/09/08]
進捗管理の方法「どうやって遅れを管理するか?」
[2005/09/08]
クリティカルチェーン・スケジューリング(2)
[2005/08/08]
21,クリティカルチェーン・スケジューリング
[2005/08/08]
遅れること前提の時間見積もり(2)
[2005/07/25]
18.遅れること前提の時間見積もり
[2005/07/14]
17.リソースはどうやって定義する
[2005/07/06]
16.ODSCからネットワークを構築
[2005/07/06]
15.完成のイメージから逆算して計画を作る
[2005/06/26]
14. プロジェクト管理の中核問題
[2005/06/15]
13. プロジェクトマネージャーの方針制約
[2005/06/13]
12. プロジェクトのリードタイムのほとんどは待ち時間
[2005/06/05]
11.完璧な計画の作成方法
[2005/05/23]
10.計画するとは
[2005/05/23]
9.プロジェクトに関わる『人』の現実
[2005/05/11]
8早く始めれば早く終わる・・・・ことはない。
[2005/04/20]
7.なるべく早くが地獄への道・・・
[2005/04/20]
6,プロジェクトマネジメントの目的は何か?
[2005/04/20]
5,プロジェクトマネジメントソフトウェアー(PMソフト)
[2005/04/20]
4,クリティカルパスは早く家に帰る道??
[2005/04/20]
3,最小自由度の原則 (こまねずみはダメ???)
[2005/04/20]
2,従来型プロジェクトマネジメントの実践
[2005/04/20]
1.まずはプロジェクトとは何か考えてみよう「恐ろしい話・・」
TOCはどうなるのかin2005
[2005/04/20]
導入が進むが失敗例も増える!?TOCクリティカルチェーンの2005年